

『京都ロマンチック案内』の撮影中。
静閑として趣ある写真を撮影してくださった東泰秀さんの、隣で、後で、
原稿を書くための資料用にと、ちょこまかと動き回って、
自分のカメラのシャッターを、パチリ押す。
自分で撮った半分は、ぼやけていたり、ブレていたり、
見るも無惨な様相だけれど、霧の中のようにぼやっとした写真も、
そのとき、あのとき、の空気を今に運んでくれることがあるから、捨てずそのままとっておく。
この、5枚の写真は、なんとか人に見せられるもの。
『続・京都ロマンチック案内』として、ご覧ください。 (甲斐みのり)


〈セム〉の2階表の間。ほおずきの右側には、
手紙道具が入った文庫が置いてある。
「タンポポが描かれた物入れは、いただきものなんです。
〈セム〉の家具のほとんどは、人から譲り受けたものなんですよ。
この空間にあうものが自然と集まってきたんです」と、
オーナーさんから伺ったお話。
ちなみに、町家では、通りに面した部屋を「表の間」、
裏口側の部屋を「裏の間」と呼ぶ。
表の間と裏の間に、もうひとつ部屋があれば、それは「中の間」。
(p66/あずきや/セム)


寺町通りに面した〈ザ スクリーン〉のスーベニールショップ。
部屋で使われている様々を、ここで買い求めることができる。
一見、ここは京都か、他所の国ではないかと錯覚に陥る。
フロアから、下りの階段を降りたところにあるのが、
ホテルのロビー。
つまり、このホテルのロビーは、地下に相当する低い位置にある。
(p68/ザ・スクリーン)


〈長楽館カフェ〉の「ウインナーコーヒー」。
バラをかたどったクリームの上に、銀色の粒が散らされている。
「大島弓子の漫画にでてきそうな、甘美な飲み物」と、
うっとり口に運んだ。
葉っぱの形のクッキーが添えられているのも、詩的な佇まい。
(p70/長楽館カフェ)


京都に暮らしていたころは、まだ営業をしていた喫茶店〈ポケット〉。
私が京都を離れたあと、店じまいしてしまった。
佇まいがなんとも愛らしく、眺めるだけで、
嬉しくなったり、ときめいたり。
本当は別の道を通れば近道なのに、
この建物の前を通りたくて、今でもわざと遠回りする。
この風景に出会える場所のヒントは、烏丸御池あたり。


〈恵文社一乗寺店〉に、数年前に増設された雑貨店「生活館」。
訪れるたび、違ったものが置かれていたりするから、楽しい。
ここでは、お土産ではなくて、自分のための買い物に夢中になる。
カゴや、台所道具、よい香りが漂うあれこれ、お茶やお菓子までも。
暮らしに潤いを注ぎ込む、
愛らしくって便利なすぐれものが手に入るから、
店を出るときはいつも、両手いっぱい、
荷物を抱え込んでいるのが常。
(p82,91/恵文社一乗寺店)

